ダイエットと貧血の関係、鉄不足やフェリチンなど血液検査で確認したい項目

ダイエットと貧血の関係|痩せにくい原因と血液検査で確認したい項目

「食事を減らしているのに、なかなか痩せない」

「運動を始めてもすぐに疲れてしまう」

「ダイエットをすると体調が悪くなる」

このような場合、食事量や運動量だけではなく、貧血や鉄不足についても一度考えてみる必要があります。

特に女性では、月経などの影響によって鉄不足が起こりやすく、ヘモグロビンが基準値内であっても、体内に蓄えられている鉄が不足している場合があります。

鉄は酸素の運搬だけでなく、私たちが身体を動かすためのエネルギー産生にも関係する重要な栄養素です。

そのため、貧血や鉄不足がある状態で「もっと食事を減らそう」「もっと運動しよう」とダイエットを進めることが、必ずしも適切とは限りません。

この記事では、

  • 貧血とはどのような状態なのか
  • 貧血や鉄不足がダイエットに影響する理由
  • 鉄欠乏性貧血以外にはどのような貧血があるのか
  • 血液検査ではどの項目を確認するのか
  • 鉄不足を栄養面からどのように考えるのか

について、できるだけ分かりやすく解説します。

※本記事は一般的な健康・栄養情報を提供するものであり、病気の診断や治療を目的としたものではありません。貧血が疑われる場合や体調に不安がある場合は、医療機関へご相談ください。

そもそも貧血とは?

「貧血=血液が少ない」と思われることがありますが、正確には少し違います。

貧血とは、血液中のヘモグロビン(Hb)濃度が低下した状態です。

ヘモグロビンは赤血球の中に存在し、肺から取り込んだ酸素を全身の組織へ運ぶ重要な役割を担っています。

イメージすると、

肺から酸素を取り込む

赤血球のヘモグロビンが酸素を運ぶ

筋肉などの組織へ酸素が届く

ミトコンドリアでエネルギー産生に利用される

という流れです。

そのため、貧血によって酸素を運ぶ能力が低下すると、疲労感や息切れ、運動能力の低下などにつながることがあります。

貧血と酸素運搬の仕組み|肺からヘモグロビン、筋肉、ミトコンドリアへ酸素が届く流れ
ヘモグロビンは肺から取り込んだ酸素を全身の組織へ運び、エネルギー産生を支えています。

なぜ貧血や鉄不足がダイエットに影響するのか?

私たちの身体は、食事から摂った糖質や脂質をエネルギーに変えて、身体を動かしています。

特に脂肪をエネルギーとして利用するときには、酸素が重要な役割を果たします。

貧血になると、血液中のヘモグロビンが減少し、身体の各組織へ酸素を運ぶ能力が低下します。

そのため、運動をしてもすぐに疲れる、息切れする、長時間動き続けることが難しいといった状態につながることがあります。

ダイエットのために運動を頑張りたくても、そもそも身体が十分に動けない状態では、運動量や日常生活での活動量を確保することも難しくなります。

もう少し詳しく|脂肪燃焼と酸素の関係

ここからは少し専門的な内容です。

脂肪はそのままエネルギーとして使われるわけではありません。

脂肪酸は細胞内のミトコンドリアで分解され、最終的にATPという、身体を動かすためのエネルギーへと変換されます。

この過程には「β酸化」「クエン酸回路」「電子伝達系」と呼ばれる反応が関係しており、最終的なATP産生には酸素が必要です。

つまり、脂肪を利用して効率よくエネルギーを作るためには、身体へ十分な酸素を届けられることが重要なのです。

ただし、「貧血になると脂肪がまったく燃えなくなる」という意味ではありません。

貧血や鉄不足によって酸素運搬能力や運動能力が低下すると、

  • 運動するとすぐに疲れる
  • 持久力が低下する
  • トレーニング強度を上げにくい
  • 日常生活での活動量が低下する

といったことが起こりやすくなります。

その結果として、ダイエットを進めにくくなる可能性があると考えるのが適切です。

脂肪燃焼と酸素の関係|脂肪酸がミトコンドリアでATPに変換される流れ
脂肪酸はミトコンドリアで代謝され、酸素を利用する過程を経てATP(エネルギー)の産生につながります。

鉄不足=貧血とは限らない

ここは非常に重要なポイントです。

鉄不足と貧血は同じ意味ではありません。

体内の鉄が不足していく場合、一般的には貯蔵されている鉄が減少し、その状態が進行すると最終的にヘモグロビンの低下につながります。

そのため、

「健康診断でヘモグロビンが正常だったから鉄不足ではない」

とは限りません。

ヘモグロビンが貧血の基準を満たしていなくても、体内の鉄が不足している鉄欠乏非貧血(Iron Deficiency Without Anemia)という状態があります。

このような鉄不足を評価する際に重要となる検査項目の一つがフェリチンです。

フェリチンとは?

フェリチンは鉄を蓄えるタンパク質で、血液中のフェリチン値は体内の貯蔵鉄を推測するために使用されます。

簡単に表現すると、

ヘモグロビン=現在、酸素を運ぶために使われている鉄

フェリチン=体内に蓄えられている鉄

と考えると理解しやすいでしょう。

そのため、ヘモグロビンだけでなくフェリチンなどを確認することで、鉄の状態をより詳しく評価できます。

ただし、フェリチンには重要な注意点があります。

フェリチンは鉄の貯蔵状態を反映する一方、炎症によって上昇する急性期反応タンパクでもあります。

そのため、

「フェリチンが高い=鉄が十分にある」

と単純には判断できないケースがあります。

慢性炎症、フェリチン、ヘプシジンと鉄代謝の関係については内容が複雑になるため、別の記事で詳しく解説します。

貧血にはどのような種類がある?

貧血というと鉄欠乏性貧血が有名ですが、すべての貧血が鉄不足によって起こるわけではありません。

原因によって対処方法が異なるため、「貧血だから鉄を摂ればよい」と考えないことが大切です。

鉄欠乏性貧血

鉄欠乏性貧血は、体内の鉄が不足することでヘモグロビンを十分に作れなくなった状態です。

原因としては、

  • 月経による鉄の喪失
  • 妊娠や授乳による鉄需要の増加
  • 食事からの鉄摂取不足
  • 消化管などからの出血
  • 鉄の吸収障害

などがあります。

特に月経のある女性では鉄不足のリスクが高く、ダイエットによる過度な食事制限が重なると、鉄をはじめとした栄養素の摂取量がさらに減少する可能性があります。

鉄欠乏非貧血

先ほど紹介したように、ヘモグロビンが正常範囲でも貯蔵鉄が減少していることがあります。

これを鉄欠乏非貧血と呼びます。

鉄不足では、貧血に至っていなくても疲労感などがみられることがあり、特に運動を行う方にとっては見逃したくない状態です。

巨赤芽球性貧血

ビタミンB12や葉酸が不足すると、正常な赤血球を作ることが難しくなり、巨赤芽球性貧血を起こすことがあります。

鉄欠乏性貧血とは原因が異なるため、血液検査の特徴も異なります。

特にビタミンB12不足では神経症状を伴うこともあるため、自己判断で鉄だけを補給するのではなく、原因を確認することが重要です。

慢性炎症に伴う貧血

慢性的な炎症や疾患に伴って、体内に鉄が存在していても十分に利用できなくなることがあります。

この状態には、鉄代謝を調節するヘプシジンというホルモンが深く関係しています。

また、鉄欠乏性貧血とは異なり、フェリチンが正常値または高値を示す場合もあります。

この仕組みについては、フェリチンの読み方を理解するうえでも非常に重要です。

ただし、本記事の中心である「ダイエットと貧血」からは少し専門的になるため、慢性炎症・ヘプシジン・フェリチンの関係については別の記事で詳しく解説します。

血液検査では何を確認すればよい?

貧血や鉄不足を評価する際には、ヘモグロビンだけを見るのではなく、複数の血液検査項目を組み合わせて考えることが重要です。

Hb(ヘモグロビン)

貧血の有無を判断する代表的な項目です。

ただし、Hbが正常だからといって鉄不足を完全に否定できるわけではありません。

MCV

赤血球1個あたりの平均的な大きさを示します。

MCVが低い場合は小球性貧血、高い場合は大球性貧血と分類する際の手掛かりになります。

鉄欠乏性貧血ではMCVが低下することがあります。

MCH・MCHC

MCHは赤血球1個あたりに含まれるヘモグロビン量、MCHCは赤血球中のヘモグロビン濃度を示します。

MCVなどと組み合わせることで、貧血のタイプを考える手掛かりになります。

フェリチン

体内の貯蔵鉄を評価する重要な指標です。

鉄欠乏では低値となります。

ただし、先ほど説明したように炎症などによって上昇することがあるため、フェリチン単独で判断することはできません。

血清鉄

血液中を循環している鉄を測定します。

食事や採血時間などによって変動するため、血清鉄だけで鉄不足を判断するのではなく、フェリチンやTIBC、トランスフェリン飽和度などと合わせて評価します。

TIBC・UIBC

TIBCは総鉄結合能、UIBCは不飽和鉄結合能を表します。

鉄を運搬するトランスフェリンの状態を間接的に評価する指標として利用されます。

TSAT(トランスフェリン飽和度)

トランスフェリンのうち、どの程度が鉄と結合しているかを示す指標です。

鉄欠乏や慢性炎症に伴う鉄利用障害などを評価する際に用いられます。

CRP

CRPは炎症の有無を確認する代表的な検査項目です。

フェリチンは炎症によって上昇する可能性があるため、フェリチンの値を解釈するときには炎症の有無も重要になります。

ビタミンB12・葉酸

MCVが高値を示す大球性貧血などでは、ビタミンB12や葉酸の状態についても検討します。

このように、貧血は一つの検査項目だけではなく、Hb・MCV・フェリチン・TSAT・CRPなどを組み合わせて原因を考えることが重要です。

貧血や鉄不足の血液検査で確認するHb・MCV・フェリチン・TSAT・CRPなどの主な項目
貧血や鉄不足の評価では、HbだけでなくMCV、フェリチン、TSAT、CRPなど複数の検査項目を組み合わせて確認します。

血液検査から貧血を考える基本的な流れ

例えばHbが低値で貧血が認められた場合、次にMCVを見ることで大まかな分類ができます。

Hb低値

MCVを確認

MCV低値:小球性貧血
MCV正常:正球性貧血
MCV高値:大球性貧血

小球性貧血であれば鉄欠乏性貧血などを考え、フェリチン、血清鉄、TIBC、TSATなどを確認します。

一方でMCVが高い場合には、ビタミンB12や葉酸不足など別の原因について考える必要があります。

実際の診断では年齢、性別、症状、既往歴、出血の有無なども含めて医師が総合的に判断します。

栄養の視点から考える鉄不足

鉄不足というと「鉄分の多いものを食べればよい」と考えがちですが、実際の鉄代謝はもう少し複雑です。

食事中の鉄には、大きく分けてヘム鉄と非ヘム鉄があります。

肉や魚などに含まれるヘム鉄は比較的吸収されやすく、植物性食品などに多く含まれる非ヘム鉄は、他の食事成分の影響を受けやすい特徴があります。

例えばビタミンCは、非ヘム鉄の吸収を高める働きがあります。

また、正常な造血や鉄代謝には鉄だけでなく、

  • タンパク質
  • ビタミンB12
  • 葉酸
  • ビタミンB6
  • ビタミンA

など、さまざまな栄養素が関係しています。

そのため、ダイエット中に極端な食事制限を行うと、摂取カロリーだけではなく、こうした微量栄養素まで不足してしまう可能性があります。

極端な食事制限が身体に与える影響については、「ミネソタ飢餓実験」の記事でも詳しく解説しています。

特定の栄養素だけに注目するのではなく、食事全体を評価することが大切です。

ダイエット中の女性は特に鉄不足に注意

月経のある女性は定期的に鉄を失うため、男性と比較して鉄不足のリスクが高くなります。

そこへダイエットによる食事制限が加わると、

食事量が減る

鉄などの栄養素摂取量も減る

鉄不足が進行する

疲労感や運動パフォーマンスが低下する

運動量を確保しにくくなる

という悪循環につながる可能性があります。

特に、

  • 食事量を大幅に減らしている
  • 肉や魚をほとんど食べない
  • 月経量が多い
  • ダイエット中に疲れやすくなった
  • 運動すると以前より息切れする
  • 過去に貧血を指摘されたことがある

といった方は、単純に食事量をさらに減らす前に、一度身体の状態について考えてみてもよいでしょう。

症状がある場合や貧血が疑われる場合には、医療機関を受診し、必要な検査を受けることが大切です。

まとめ|ダイエットを始める前に身体の状態を確認しよう

ダイエットでは「何kg痩せるか」や「何kcal食べるか」に注目しがちですが、その前に身体が運動や食事制限に対応できる状態なのかを確認することも重要です。

特に鉄不足や貧血がある場合、酸素運搬能力や運動能力が低下し、思うようにトレーニングを続けられないことがあります。

また、ヘモグロビンが正常であっても、フェリチンなどの貯蔵鉄が低下している場合があります。

反対に、フェリチンが高いからといって必ずしも鉄が十分に利用できているとは限りません。

貧血には鉄欠乏性貧血だけでなく、ビタミンB12・葉酸不足による貧血や、慢性炎症に伴う貧血など複数の種類があります。

大切なのは、自己判断でサプリメントなどを摂取することではなく、必要に応じて医療機関で検査を受け、原因を確認することです。

「食べる量をさらに減らす」「運動量をさらに増やす」という方法だけではなく、自分の身体の状態を知ることも、健康的なダイエットを続けるための一つの方法です。

京都・烏丸御池で健康的なダイエットを目指す方へ

京都・烏丸御池駅徒歩1分のパーソナルジムα Personal Training LABでは、単純に体重を減らすことだけを目的とするのではなく、一人ひとりの運動経験や生活習慣、食事内容、身体の状態に合わせたトレーニングをご提案しています。

「食事を減らしているのに思うように痩せない」

「運動するとすぐに疲れてしまう」

「自分に合ったダイエット方法が分からない」

という方も、お気軽にご相談ください。

なお、貧血や鉄不足など医学的な評価が必要と考えられる場合には、パーソナルジムで診断を行うのではなく、医療機関での検査・診察をおすすめしています。

健康状態にも配慮しながら、無理なく継続できるダイエットを一緒に考えていきます。


この記事を書いた人

丹下 翔太

・ボディメイク・姿勢改善・リハビリ・スポーツパフォーマンス指導

・α Personal Training LAB 代表

・NSCA認定パーソナルトレーナー

・AZCARE Master Provider

・Synthesis認定ピラティス

・BPA認定パフォーマンススペシャリスト

α Personal Training LAB代表 丹下翔太

店舗情報

α Personal Training LAB

〒604-8136
京都府京都市中京区梅忠町20-1
烏丸アネックス3F

営業時間

  • 平日10:00〜22:00
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  • 定休日 毎週火曜日

電話番号075-708-7198

参考文献

本記事の作成にあたり、以下のガイドライン・論文等を参考にしています。

  1. World Health Organization. Guideline on haemoglobin cutoffs to define anaemia in individuals and populations. Geneva: World Health Organization; 2024.
  2. World Health Organization. WHO guideline on use of ferritin concentrations to assess iron status in individuals and populations. Geneva: World Health Organization; 2020.
  3. National Institutes of Health, Office of Dietary Supplements. Iron: Fact Sheet for Health Professionals.
  4. Snook J, et al. British Society of Gastroenterology guidelines for the management of iron deficiency anaemia in adults. Gut. 2021;70(11):2030-2051.
  5. Al-Naseem A, Sallam A, Choudhury S, Thachil J. Iron deficiency without anaemia: a diagnosis that matters. Clin Med (Lond). 2021;21(2):107-113.
  6. Balendran S, Forsyth C. Non-anaemic iron deficiency. Aust Prescr. 2021;44(6):193-196.
  7. Pengelly M, Pumpa K, Pyne DB. Iron deficiency, supplementation, and sports performance in female athletes: A systematic review. Journal of Sport and Health Science. 2025;14:101009.

参考情報について

フェリチンは体内の鉄貯蔵量を評価する重要な指標ですが、炎症や感染症、肝疾患などの影響によって上昇することがあります。そのため、フェリチンのみで鉄不足や鉄過剰を判断するのではなく、必要に応じてヘモグロビン、トランスフェリン飽和度(TSAT)、CRPなど複数の検査項目を組み合わせて評価することが重要です。

また、貧血や鉄欠乏の診断基準・検査値の解釈は、年齢、性別、妊娠の有無、基礎疾患、炎症の有無などによって異なります。本記事は一般的な情報提供を目的としており、医学的な診断や治療を目的としたものではありません。